長期入院時の資金繰りに悩む前に知っておきたい高額療養費制度

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このコラムは、AFP(アフィリエイテッド・フィナンシャル・プランナー)資格を持つ現役のFPに監修してもらい書いています。参照となる資料は、ひろまさの体験したもの・公式もしくはそれに準ずる情報に限り使用しています。

AFP・・・日本FP協会認定資格。FPとして必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した人に与えられる資格です。

ひろまさ(@hiromasa79)です。

いざ白血病の入院治療になると、おそらく今まで経験したことのない高額の医療費請求に驚いでしまう方も多いんじゃないでしょうか?

健康保険のきく治療であれば、本人3割負担(年齢によっては1〜2割の人も)で済みますが、これでも実際の「支払請求額」は、数十万円になることもあります。

そこで、ぜひ知っておきたいのが「高額療養費制度」です。
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月の医療費に上限を設ける

「高額療養費」とは・・・、ある1か月で患者が負担する医療費に上限額を設け、その上限額を超えて支払った医療費があれば「高額療養費」として支給される制度のことを言います。

実際に本人の負担する上限額は、、個人別の所得によって上限額が異なります。

70歳未満の場合は、下記の通りになります。

原則は左側の数式を使った計算になります。

高額療養費の「多数回該当」について

さらに、直近1年間で3回以上高額療養費の支給を受けていると、4回目から「多数回該当」となります。

この、「多数回該当」となると、下表右側にある「定額上限額」が適用されるため、さらに支払い額が少なくて済むようになります。
(表1 高額療養費の自己負担限度額)
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さらに70歳以上の場合は、この表とは異なる基準で上限額が定められています。
【実例①】
「区分ウに該当する人」が、3月1日〜31日の間に総医療費100万円(自己負担30万円)支払った場合は、自己負担上限額は、80,100円+(100万円‐267,000円)×1%=87,430円となります。

すでに払った30万円から87,430円を引いて、高額療養費212,570円が支給されます。

国保と社保で異なる基準

公的健康保険には

  • 国民健康保険
  • 社会保険の健康保険

がありますが、区分ア〜オがそれぞれで定められています。

(表2 国民健康保険と社会保険での区分の違い)
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国保と社保で共通しているのは、所得が高くなるほど医療費の上限が上がるということです。

  • 国民健康保険は、所得税の確定申告(もしくは住民税申告)で申告した総所得金額等によって決まり、さらに世帯全員の分を足して判定されます。
  • 社会保険は、概ね勤務先の月給(標準報酬月額)だけで決まります。

※標準報酬月額の説明は、

白血病になっても安心!治療中から受け取れる傷病手当金を詳しく解説します.

2016.11.20
の「標準日額報酬という考え方」で詳しく解説しています。参考にされてみてください。

いったん払って戻すか限度額で抑えるか

「高額療養費」は、先ほどの【実例①】のように、「一旦支払ってから、健康保険の運営者(健康保険組合や市区町村など)に申請をして支給される」という流れが原則となります。

しかし、入院により高額な医療費がかかりそうな場合は、あらかじめ「限度額適用認定証」を健康保険の運営者に発行してもらいます。

この「限度額適用認定証」を、月ごとに病院の窓口で提示すれば、自己負担限度額(上記の【実例①】では87,430円)までの支払で済ませることができます(先払いする負担を避けることができます)。

あとで還ってくるお金とはいえ、先払いによる負担の場合は、やっぱり資金繰りが心配になって来ます。

「限度額適用認定証」の申請はお忘れなく!

入院期間によって異なる高額療養費

医療費の上限額は「月単位」で計算されます。

1ヵ月間という“期間ではない”ことに気をつけてください。

説明します。入院期間が、

  • 3月24日〜31日で医療費自己負担が30万円のケース(同月内)
  • 3月29日〜4月4日で同じく30万円のケース(月をまたぐ)

では、高額療養費の計算が変わってきます。

もう一度、表を貼っておきます。
(表1 高額療養費の自己負担限度額)
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前者のケースで「区分ウ」の方なら、高額療養費はすでに計算した通りです。

後者のケースで「区分ウ」の場合、3月は自己負担額が15万円(総医療費50万円)、4月も15万円で合計して30万円かかっているとします。

この場合の3月の自己負担限度額は、80,100円+(50万円‐267,000円)×1%=82,430円、となります。

同じく、4月も82,430円ですね。

これを合計すると、単純に2倍の164,860円が自己負担限度額の支払い金額となります。

退職すると限度額が変わることにも注意

勤め先を退職し、国民健康保険に加入した場合は、退職日(健康保険の脱退日)をもって健康保険の加入先が変更となります。

上記と同じ、3月24日〜3月31日が入院期間であったケースで、3月27日退職となり、社会保険を脱退し国民健康保険に加入となると、高額療養費の計算が別物とみなされ、それぞれの加入保険において限度額認定の計算が行われることになります。

保険による自己負担額が、3月24日〜27日で自己負担15万円、28日〜31日が15万円だと仮定します。

この場合、社会保険・国民件保険のそれぞれで自己負担限度額が82,430円となります。

これを合計した164,860円が自己負担限度額の支払い金額となります。

さらに、「多数回該当」の条件もリセットされることになりますので、リセット後の3回は、通常の高額療養費計算に基づく自己負担金額を支払うことになります。

転院などした場合にも限度額が変わります

高額療養費は医療機関単位でも判定されますので、病院を変わってしまった場合でも、上で説明したのと同じように、2倍になる可能性があります。

よく病院受付で、「過去3か月以内にほかの病院で治療を受けたことがありますか?」と質問されるのは、これが理由です。

まとめ

さいごにもう一度、要点を整理します。

  • 医療費が高額になった場合、「高額療養費」制度によって自己負担が軽減される。

  • 「高額療養費」制度を1年に3回以上利用すると、4回目以降は「多数回該当」となり、さらに自己負担額が軽減される。

  • 「高額療養費」の算出期間は、「1日〜月末」の1ヶ月単位であり、月をまたぐ場合は、それぞれの月ごとに算出される。

  • 退職で社会保険から国民保険に切り替わった時は、注意が必要。

  • 転院など病院が変わった時にも、注意が必要。
高額療養費は「健康保険の制度」に基づくものなので、「保険適用外の医療費には適応されない」ということをきちんとに理解しておく必要があります。

なるべくわかりやすく書いてみましたが、やっぱり複雑な制度ですね。ですが、これからの白血病治療を受ける患者にとっては、経済的に大きな味方になってくれるとても大事な「高額療養費」制度です。

何度もなんども読んで、わからなければ病院の会計担当の方と相談するなどして、頑張って理解していきましょう。わかってしまえば、怖がることはありません。

では

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