自分の両親は大丈夫?外来特例もある70歳以上高齢者の高額療養費を考える

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アイキャッチ画像編集:暇モアイ氏

このコラムは、AFP(アフィリエイテッド・フィナンシャル・プランナー)資格を持つ現役のFPに監修してもらい書いています。参照となる資料は、ひろまさの体験したもの・公式もしくはそれに準ずる情報に限り使用しています。

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最近のマイブームは『橋下×羽鳥の番組』なひろまさ(@hiromasa79)です。
毎週TVに向かってブツブツ言うのが習慣になりつつある今日このごろ。

本題に入りますが、最近”70歳以上高齢者の高額療養費の自己負担が増える”というような報道がされています。

これについて当初は、”低所得者の負担も上げるような提案”も議論されていましたが、結果的に低所得者に配慮する形に修正されました。

高額療養費制度についてはこちらで詳しく解説しています。

長期入院時の資金繰りに悩む前に知っておきたい高額療養費制度

2016.12.08

なぜ今回”70歳以上高齢者の高額療養費”について書こうと思ったのか、それは70歳未満の場合と比べて色々な優遇措置があるというのもありますが、自分の両親がもうすぐ70歳以上になるということが大きいです。

読んでくれているあなたは70歳以下だと思いますが、ぼくのように身内の方が当てはまるってこともあるかもしれません。

70歳以上高齢者の高額療養費について

2つの表を使って説明していきます。

外来特例とは?

70歳以上の高額療養費の一番のポイントは、”外来特例”の存在です。

外来診察による医療費が高額になる場合、自己負担上限額が原則の場合と比べて下がるという制度です。

特に”低所得者”と”一般所得者”の区分では、8,000円〜12,000円とかなり優遇されていることがわかります。(表1)

外来特例は、いちいち上限額を計算しなくて良いので、上限額がシンプルでわかりやすくなっています。

(表1 70歳以上の高額療養費自己負担限度額)%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-10-14-56-42

 区分について

70歳未満と区分の仕方が異なります。住民税課税者の区分が、”現役並み所得者”と”一般所得者”の2つに分かれます。(表2)

社会保険では標準報酬月額が基準です。

一方国民健康保険・後期高齢者医療保険では住民税の課税所得が基準となり、145万円が分かれ目になります。(※原則なので、該当するかどうかは個別の要件によって変わることがあります。)

(表2 社保と国保等での区分の違い【70歳以上】)
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(表3 社会保険と国保での区分の違い【70歳未満】)
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70歳以上が優遇されている非課税者の区分

70歳以上だと”非課税者”という括りの中に、さらに細かい区別があります。

低所得者II

ざっくり説明すると、”70歳以上の低所得者II”と、”70歳未満の区分オ”は同じ基準です。(表2・表3)
※社保では加入者(被保険者)が住民税非課税者、国保等では住民税非課税世帯である点において

低所得者I

さらに70歳以上の場合、もう一つ下に”低所得者I”の区分があります。

・社保の場合、”年金収入が年80万以下”と”被扶養者も住民税非課税者である”という条件がつきますが、世帯での自己負担上限額が優遇されています。(表1・表2)
※ちなみに社保の被扶養者は年収130万円未満であるという条件もあります。

・国保・後期高齢者医療保険の場合、条件は”公的年金の収入が年80万円以下”と”年金以外の所得も0である”となります。(表2)

手厚い保護を受けられる反面、要件が細かく設定されていて話がわかりにくいですが、ひとつひとつ確認すれば大丈夫です。

制度改正の動き

平成29年8月から下記のとおりに変更されます。変更される箇所は、色をつけています。

(表3 平成29年8月以降の自己負担限度額)
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当初、現役並み所得者の外来特例は24,600円(いままでの2倍以上)、さらに一般所得者の外来特例は、70歳未満と同じ計算方法になることが検討されていました。
しかし、これでは急に上がりすぎてしまうため再検討となり、今の内容に収まったという経緯があります。

また現役並み所得者の外来特例については、年間だと14,000円×12で168,000円になりますが、年間での上限額は144,000円と若干軽減されています。

世帯全員で合算して上限額を適用できるメリット

表1や表2の右側を見てもらうとわかりますが、”世帯単位の上限額”となっています。

これは外来であるか入院であるかに関係なく、70歳以上の高齢者が世帯に複数いれば、全員足したうえで上限額を超えて負担した分は戻ってくるということです。

ぼくの両親も、あと数年でどちらも70歳以上になるため、こういったケースは珍しくないと思います。

例えば同一世帯の下記2人が、平成28年の4月に下記の医療費を自己負担した場合。

  • 夫(70)の医療費自己負担:外来で20,000円(住民税課税所得100万円で一般所得者)の支払い
  • 妻(72)の医療費自己負担:入院で40,000円(住民税課税所得50万円で一般所得者)の支払い

①夫は外来特例により、上限額の12,000円が適用されます。(表1)病院窓口で20,000円支払っていれば、8,000円支給という計算になります。

②この時点で、夫婦あわせての自己負担は12,000円+40,000円=52,000円ですが、ここで世帯単位の自己負担上限額が適用され44,400円となります。(表1)世帯単位では差額の7,600円が支給される計算になります。

③最終的に、個人の支給額8,000円と世帯単位の支給額7,600円をあわせて、15,600円が支給されることになります。

これが”世帯合計”という考え方になります。

70歳以上高齢者の高額療養費まとめ

  • 自己負担上限額がシンプルでわかりやすい(70歳未満と比較して)
  • 低所得者Iの区別があり、優遇されている
  • 世帯単位という考え方があり、優遇されいる(※計算は少し複雑)
  • 平成29年8月に内容が改定になる

自分には直接関係ないかもしれませんが、両親や親戚など身内に70歳以上の人は多いと思います。

今は関係なくても、何かの折にきっと役にたつ知識です。ぜひ覚えておいてください。

長文にもかかわらず、最後までお付き合い頂きありがとうございました。

では

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