この記事は:約3分で読めます。
ざっくり記事を読むための見出し
2016年1月8日 ついに大塚製薬がポナチニブを国内承認申請
今回、承認申請されたポナチニブはT315I変異に対しても阻害作用を示すように設計されており、既存のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性(効果がなくなった方)または不耐容(副作用などにより薬剤が使用できなくなった方)の慢性骨髄性白血病、再発または難治性のフィアデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病、特にT315I変異に代表される変異型BCR-ABLにも効果を示します。
大塚製薬のニュースリリースへはこちら
オンコロジーのニュース記事へはこちら
フィラデルフィア染色体とT315i点突然変異
フィラデルフィア染色体陽性
一部の急性リンパ性白血病に見られる染色体の異常。22番染色体と9番染色体間での転座によって、c-ablとbcrという遺伝子が融合し、異常なタンパク質を生じる。造血幹細胞を無制限に増殖させるようになる。以前は急性リンパ性白血病や急性期転化した慢性骨髄性白血病の強力な予後不良因子であったが、現在は一部の点突然変異を起こしたものだけが予後不良とされている。
ちなみに、成人の急性白血病患者の約25%の割合でこの染色体異常が発生がみられる。
T315i点突然変異
フィラデルフィア染色体がさらに点突然変異を起こし薬剤に耐性を持つことがある。その場合、薬剤の増量・変更あるいは造血幹細胞移植などを行う必要がある。特に急性期転化したCMLやPh+ALLでは耐性を持ちやすいので適用可能であれば造血幹細胞移植を選択することが多い。点突然変異は30種類ほどが知られているが、中でも T315I というタイプは発現頻度が高く、最も難治性である。
分子標的薬(≒チロシンキナーゼ阻害剤)
がん細胞に特徴的に発現しているタンパク分子を標的とし,これらの作用を阻害することで,がん細胞の増殖を抑制する抗がん剤。これまでの抗がん剤と異なる点は,標的となる分子が明確になっていることで,がん細胞を選択的に攻撃すると考えられている。したがって,副作用も少ないと期待されていたが,標的分子はがん細胞に多く発現しているものの,正常細胞にも一部存在し,従来型の抗がん剤とは異なる副作用もみられる。
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の治療薬の種類について
第一世代
イマチニブ(imatinib、商品名:グリベック)国内承認2007年1月~
第二世代
ダサチニブ(Dasatinib、商品名:スプリセル)国内承認2009年1月~
※申請から承認まで1年5か月(オーファンドラッグ指定あり)
第三世代
ポナチニブ(Ponatinib、商品名:アイクルシグ)国内承認2017年???
(オーファンドラッグ指定あり)
新薬の情報と、薬のあれこれを自分で調べたついでにメモ代わりにまとめを作成してみました。
また加筆修正すると思います。
2016.11.29.追記
2016年11月21日付で、大塚製薬より正式に国内発売が始まっています。別記事で、国内で使用できるようになるまでのシミュレーション記事も書きましたが、予想を超える速さでの使用解禁となり大変¥喜ばしく感じています。これにより、一人でも多くの患者の命が救われることを期待しています。
コメントを残す