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アイキャッチ画像編集:暇モアイ氏
このコラムは、AFP(アフィリエイテッド・フィナンシャル・プランナー)資格を持つ現役のFPに監修してもらい書いています。参照となる資料は、ひろまさの体験したもの・公式もしくはそれに準ずる情報に限り使用しています。
AFP・・・日本FP協会認定資格。FPとして必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した人に与えられる資格です。
今、日本人の2人に1人は「がん」になると言われています。
がん治療は、そのステージによって様々ですが身体的・精神的・金銭的、どれをとっても負担は大きいものとなります。
一方、抗がん剤や放射線の治療も進歩してきており、入院せずに通院治療で済む場合も珍しくない時代となりました。
その中で、「がん患者が治療と仕事を両立」していくために、勤務先がきちんと支援してほしいということを、国が積極的に推進する方向性になっています。
ざっくり記事を読むための見出し
両立支援制度
ここからは、実際に治療と仕事を両立させるための具体策についてみていきます。
がん対策基本法改正
厚生労働省にて本日、全国がん患者団体連合会「改正がん対策基本法成立に伴う国のがん対策推進基本計画への要望書」に関する記者会見を開き、朝日新聞でも紹介いただきました。改正法の内容が基本計画に反映されるよう10項目を要望いたしました。https://t.co/DdYppStZU8
— 天野 慎介 (@shinsuke_amano) December 14, 2016
もともとは、仕事との両立という内容にまでは踏み込んでいなかった法律ですが、平成28年12月に成立した改正法では、「がん患者の仕事継続支援」が盛り込まれました。
企業側に、がん患者を退職させることなく、「雇用継続支援」することをお願いするものです。
また国や自治体も、企業が「雇用継続支援」に努めるよう推進・支持することが盛り込まれています。
病院と企業とのやりとり
がん対策基本法の改正法の前にも、平成28年2月には「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(PDF)」を厚生労働省が公表しています。

このガイドラインにおいては、まず労働者が主治医に勤務内容を提供します。
そして、主治医に作成してもらった書面を勤め先が回収することを求めています。
さらに勤め先に顧問の産業医がいれば、勤め先が意見を聞いて労働者に配慮するよう求めています。
その上で、働いている従業員に対しては「両立支援プラン」、休んでいる従業員であれば「職場復帰支援プラン」を作成することが求められています。
具体的には労働者に対して業務内容の変更や、通院時間の確保等の措置を行うことになります。
短時間勤務制度等の導入も求める
「短時間勤務制度」については、一般労働においても企業に理解が無い場合か多く、なかなか進展していません。
ですが、これからの社会を考える上で、非常に重要な施策です。
ほかにも、
- 時間単位の休暇制度
- テレワークを活用
を導入することで、仕事と治療の両立支援をするよう、勤務先の企業に強く求めています。
「短時間勤務制度は」政府の働き方改革推進において、特に育児・介護との両立向けとして認知度が先行していますが、治療との両立にも使える制度として期待されています。
企業はどう変わるか
とはいえ、「働く現場での認識はどの程度なのか?」、どうすれば「仕事と治療の両立」が可能になっていくのかを探ってみます。
すぐに変わるのは難しい
がん対策基本法が企業に求めているのは、あくまで雇用継続の努力義務でしかありません。
企業側にとっても、病気療養中の方をどのように活かしていくのか?判断がとても悩ましいというのが本音です。
最近は「ブラック企業」という言葉をよく聞くようになり、長時間労働をさせていた企業が厳しい国の調査を受けています。
しかし、がん対策基本法は法律違反した企業を直ちに取り締まるためのものではないのです。
ただ改正法では、これから年数が経って罰則付きの規定に変えていく、という努力義務の方向性が示されています。
企業としても、時間とコストを割いてでもきちんと対応をしなければならない問題になっていくと考えられます。
企業向け助成金による後押し
雇用保険は、主に失業対策の保険です。
病気になったときの活用法もこれまで何回かお話ししてきました。
雇用保険料は他にも、雇用の継続を後押しするための「助成金の財源」としても使われています。
(表)治療と職業生活の両立に関する支援制度・機関
2 事業者が利用できる支援制度・支援機関
がん患者の両立支援に利用できる助成金はガイドラインに例示されていますが、両立支援のみに特化した助成金まではまだありません。
しかし育児・介護と仕事の両立支援に特化した助成金は存在します。
これからがん患者の治療と仕事の両立支援に特化した助成金も、できる可能性は十分にあります。
そこまで進めば、「がん治療と仕事の両立支援」が現実的なものになる良いきっかけにはなるはずです。
法律を知ることはとても大事
先ほど少し話しましたが、つい先日の12月9日に「改正がん対策基本法」が衆議院全会一致で可決、成立しました。
今回の話は、これまで触れてきたような直接的に役立つ助成金のノウハウやテクニックといった話ではありません。
しかし今まで何回にも渡ってお話してきた内容のほとんどは、こういった法律が元となって作られた制度の一部分に過ぎません。
難しいと感じるかもしれないですが、自分の病気の治療と関係があると思えば興味もわいてくると思います。
自分で未来を考えてみる
休業中も健康保険の傷病手当金を受け取ることはできますが、一方でその間に労働者は「キャリア」を、企業は「働き手」を失うことになります。
治療を続けつつ働くことができるのであれば、労働者も企業もWin-Winの関係が得られることになります。
実際はがんだと判明した時点で、やむなく退職に至るというケースが後をたちません。
その後、働けるようになったのに「再就職が難しくなってしまう」ことで、生活に支障が出てしまうのは、本人にとっても社会にとってもマイナスでしかありません。
そのような事態を防ぐために、ガイドラインの公表や法改正が行われてきました。
病気と向き合う上では、「手当を上手に活用する」ことと同じくらい「働く手段を確保する」ことも重要です。
どちらか一方ではなく、両方が等しく揃って初めて、「治療と仕事の両立」という目的が達成できるとぼくは考えます。
ニュースを読むと、いろんなことが見えてきますね。
では
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