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アイキャッチ画像編集:暇モアイ氏
このコラムは、AFP(アフィリエイテッド・フィナンシャル・プランナー)資格を持つ現役のFPに監修してもらい書いています。参照となる資料は、ひろまさの体験したもの・公式もしくはそれに準ずる情報に限り使用しています。
AFP・・・日本FP協会認定資格。FPとして必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した人に与えられる資格です。
以前は外資中心だった民間の医療保険も、今は日本の保険会社でも取り扱うようになりました。
一方で、日本は健康保険制度によって手厚く保護されているので、医療保険はいらないという声も根強くあります。
確かに総医療費の1〜3割の自己負担だけで済みますし、「高額療養費制度」などにより医療費を抑えることもできます。
また傷病手当金による保護もあります。
ただ、よく考えておいたほうがいい点もあります。
ここからは「健康保険制度」の今後について、少し真面目に考えてみようと思います。
健康保険制度のこれから
苦しい財政状況
健康保険制度は、国民の支払う保険料によって支えられています。
その保険料が、医療機関が診療を行った際の報酬などに充てられています。
健康保険制度のおかげで、本人は医療費の1〜3割だけ負担すればよく、残りは保険料から充当されています。
しかし、年齢を重ねる程どうしても医療費がかかってきます。
その一方で、保険料は収入に応じて高くなるシステムです。
つまり、リタイアした高齢者よりも現役のサラリーマン世代に大きく依存するという構造的な問題を抱えています。
高齢化社会の進展で、保険料収入が少なくなる一方、医療費は膨らみ、財政的にも苦しい状況に追い込まれています。
結果として、健康保険制度は以下のような方向に進んでいます。
自己負担割合が増える
現在、6歳〜69歳であれば自己負担割合は3割です。
平成9年3月までは、自己負担割合は1割でした。
以降、2割負担となり、平成15年3月〜は、現行の3割負担と年々増えてきています。
また現在75歳以上は1割、70〜74歳や6歳未満は2割負担ですが、70〜74歳に関しては、平成26年4月2日以降に70歳になる人から1割→2割になるなど、最近でも負担割合が引き上げられています。
高額療養費の上限が増える
高額療養費については、以前の投稿で話していますが、
つまり、区分ア・イの比較的高所得の人にとっては、上限額が引き上げられているという状況なのです。
保険料に見合う保障があるのか
健康保険の保険料は、所得(月給)に比例して負担していますが、高額療養費の自己負担上限額も、所得(月給)に比例して高くなります。
所得が高いと保険料も自己負担額も高くなるのは、低所得者を保護する「社会保障」の特徴です。
一方で、「社会保障」と「民間の医療保険」の考え方は正反対となります。
民間の医療保険は、保険料を負担するほど保障は厚くなります。
結果として、病気になったときには医療費負担を下げることができます。
保険外併用療養が拡大する
最近は、医療の分野で最新の薬や治療方法の開発が急激に進んでいます。
その結果、「保険外併用療養費制度」の範囲が広がってきています。
これまで健康保険適用と健康保険適用外の療養を一緒に受けている場合、どちらも健康保険適用外の扱いでした。
その為、医療費全額が患者の自己負担になることから、先進医療として認められていない治療や国内未承認薬を使った治療を受けるという選択は、とてもハードルの高いものでした。
今回「患者申出療養」の制度により、全額自己負担は健康保険適用外の療養だけでよくなりました。(※適用となる範囲は厚生労働大臣が定めたものに限定されています。)
ですが、先進医療として認められていない治療や国内未承認薬を使った治療の中には、驚くほどのお金がかかるものも珍しくありません。
まとめ
今まで話してきた「高額療養費制度」や、「傷病手当金」の制度を知らずに、民間医療保険を契約される方も多いです。
その意味で医療保険に入る前に、日本には社会保障制度がありますよ!」という警鐘を鳴らす意味合いが強いと思います。
また、病歴のある(過去6ヶ月間など)人は保険契約を断られたり、健康な人より高い保険料で契約することになったり、と民間の医療保険が割に合わないことも考えられます。
現在の健康保険制度は、病歴で保険料が左右されることはありません。
しかし健康保険制度の動きを細かく見ていくと、今後もずっと今の水準で保護してくれるという保障はどこにもありません。
また保険外診療の活用を政府が推進しているようにも見えます。
健康保険が適用され高額療養費の上限があるとはいえ、支払う資金は必要です。
もしものために、手取り収入の1割〜2割は貯めたほうが良いと言われていますが、そこまで貯められない人には、強制的に「医療保険に加入してしまう」のもおすすめの選択肢と言えます。
特に所得が高い人は(保険料はかかりますが)、高額療養費の上限も高いのですから、保障額を手厚いものにしておくとをおすすめします。
これからは、健康保険制度の動きや所得・貯蓄・病歴を考慮しながら、「民間医療保険は不要」と決めつけずに契約を考えていくことが、今後ますます重要になっていくことが予想できます。
では
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