高額療養費の上限額をさらに引き下げる世帯合算制度をもう少し詳しく解説

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アイキャッチ画像編集:暇モアイ氏

このコラムは、AFP(アフィリエイテッド・フィナンシャル・プランナー)資格を持つ現役のFPに監修してもらい書いています。参照となる資料は、ひろまさの体験したもの・公式もしくはそれに準ずる情報に限り使用しています。

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ひろまさ(@hiromasa79)です。

この記事は前回記事の補足資料として、具体例を元に世帯合算について実際にどうやって計算するのかを見ていきます。

70歳以上高齢者の高額療養費制度についてはこちらの記事を読んでみてください。

自分の両親は大丈夫?外来特例もある70歳以上高齢者の高額療養費を考える

2017.01.10
上記の記事で、「70歳以上高齢者の高額療養費制度」については、、70歳以上の人が複数いる世帯での世帯合算という考え方について説明しました。

この「世帯合算」についてですが、70歳未満の人を含めた形で利用し、個人別で計算した自己負担上限額を世帯でさらに引き下げることも可能です。

世帯合算は少しわかりにくいので、改めて事例形式で段階的に説明します。

ちなみに、70歳未満の場合の高額療養費制度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

長期入院時の資金繰りに悩む前に知っておきたい高額療養費制度

2016.12.08

それでは見ていきます。

70歳未満で世帯合算できる基準

自己負担21,000円以上

70歳未満の人がいる世帯で高額療養費制度の世帯合算を活用できる条件ですが、自己負担がひと月で21,000円以上の人だけが対象となります。

例えば、平成28年4月の医療費自己負担が、下記のようになった世帯を考えてみましょう。(夫が職場の健康保険の加入者であり、妻と子が被扶養者)

・夫(42) 20,400円(総医療費68,000円)
・妻(40) 60,000円(総医療費200,000円)
・子(16) 21,300円(総医療費71,000円)

この場合、妻と子の医療費で世帯合算され、夫は世帯合算の対象からは除外されます。

計算の方法

夫の標準報酬月額が30万円で、所得区分は「ウ」になっているとします。妻単体の自己負担限度額は、

80,100円+(200,000円—267,000円)×1%=79,430円>60,000円

ですので、個人単位で高額療養費が支給されることはありません。子も同様に上限額を下回ります。

妻と子の「総医療費」を合算しますと271,000円になりますので、世帯の自己負担限度額は、

80,100円+(271,000円—267,000円)×1%= 80,140円

です。

一方妻と子の負担額を足し合わせると、81,300円となり1,160円上回ります。世帯合算を活用することでこの額だけ高額療養費が支給されます。

70歳未満と70〜74歳がいる世帯での合算

まずは70歳〜74歳の人同士で合算

ところで同じ世帯に70歳未満と70歳〜74歳の人がいる場合ですが、まず70歳以上の方だけで世帯合算を行うことになります。子が職場の健康保険で、父と母が被扶養者となっている世帯を想定しています。

・子(40):外来で69,000円(総医療費230,000円) 区分ウ
・父(70):外来で20,000円(総医療費200,000円) 住民税課税所得100万円で一般所得者
・母(72):入院で40,000円(総医療費400,000円) 住民税課税所得50万円で一般所得者

この場合、まず70歳以上だけで15,600円の支給額が計算されます。

全員あわせて合算

70歳以上の人達だけで計算した後に、70歳未満の人達に自己負担21,000円以上の人がいれば含めて世帯合算できます。世帯3人の総医療費合計は830,000円ですが、区分ウの上限額算式をあてはめて、

80,100円+(830,000円—267,000円)×1%= 85,730円

が世帯限度額となります。

世帯の医療費自己負担額は、この段階では44,400円+69,000円=113,400円となりますので、世帯限度額との差額27,670円が高額療養費支給額と計算されます。

70歳以上だけで計算した場合の支給額15,600円と、70歳未満の人をあわせて計算した場合の支給額27,670円をあわせて43,270円が、平成28年4月のこの世帯における支給額となります。

75歳以上の人が世帯にいる場合

後期高齢者医療制度の健康保険を利用する75歳以上の人が世帯にいる場合ですが、これは75歳未満の人が加入する健康保険制度と違うということもあり、残念ながら75歳未満との世帯合算制度はありません。

75歳以上の人同士での世帯合算の計算は、70〜74歳と同様に行います。

まとめ

さいごにもう1度、まとめておきます。

  1. 世帯合算を考える場合、3つの年齢層に分けて考えます。
    ・70歳未満
    ・70歳〜74歳
    ・75歳以上
  2. 70歳〜74歳の場合、世帯の自己負担上限額を使って高額療養費を計算できます。
  3. 70歳未満の場合は、自己負担額21,000円以上の人のみ世帯合算の対象となります。また70〜74歳の人とも㈪の計算を行ったうえで合算できます。
  4. 75歳以上の場合には、75歳未満とは切り離して世帯合算を行います。
以上、世帯合算についての補足説明でした。参考になりましたでしょうか?

では

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