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ひろまさ(@hiromasa79)です。
血液がんの病状を調べるためには、血液検査がつきものです。毎日、朝から痛い思いをして採血されてる患者さんも多いと思います。しかし、
という方、実はすごく多いんじゃないでしょうか?だとすると、すごく勿体無いことをしていると思います。ほんの少し読み方を覚えるだけで、自分の体が今どんな状態なのかが手に取るようにわかるようになるからです。
まだ闘病を始めたばかりの人や、身内の方、知人の方にもぜひ知ってもらいたい検査結果の読み方について解説していきます。
ざっくり記事を読むための見出し
血液を見ればその人の健康状態がわかる!
血液内科の主治医と話していて、「血液を見ればおよそ、その人の健康状態を把握できます」と言われたことがあります。特に内科医の場合は、問診と血液検査の結果によって実際の治療を行うので、少しの数字の変化から体調の変化を読み取ってくれます。
血液内科の主治医は、この検査結果と問診での会話をもとに、患者の全身状態を推しはかり治療計画に反映しています。ですから、血液検査の結果を読めるようになることで、問診時の主治医とのコニュビケーションがうまくいくようになります。それだけでなく、お互いの信頼感が強くなることで集中して治療に取り組めるようなります。
主治医とうまくコミュニケーションが取れなくて悩んでいる方は、ぜひ検査結果をきっかけに質問をぶつけてみてください。
検査項目は100以上もある!?
各病院ごとに、形式や単位表記、検査項目の違いがありますが、多いところだと100項目ある場合も・・・。ですが、大抵の場合、素人が読んで理解できるものではないので、ここからは最低限覚えておきたいポイントに絞って見ていきたいと思います。
覚えておきたい9つのポイント
使用するデータは、僕が入院するきっかけとなった日の血液検査結果と、先日の退院した日のものを比べながら見ていきます。
検査項目は50以上、多い日は100近くなることもあります。僕は、実際にひとりで調べて、全ての項目を理解できるようになるまで1ヶ月位の間、ひたすらPC画面とにらめっこしていた時期があります。どうしてもわからない項目があるので、主治医に訊ねたら「僕もこれは見ていない項目だから、無視していいよ」と言われた時は、さすがにすっこけましたが・・・。
ここでは、必ず知っておいたほうがいいと思う、重要な9つの項目だけを解説します。上の表と照らし合わせながら読み進めてください。
①WBC(白血球数)
白血球・・・病原体の侵入から体を防御するなど「免疫」と呼ばれる働きをします。
白血病といえば、白血球が大事な指標なのは大体想像がつくかと思います。上のデータの場合、発病時は基準値の10倍近くまで増えています。これは、白血球が無制限に異常増殖する典型的な白血病の症状を表しています。
実際に増えているのは、正常に機能しない異常な白血球ですから、他の正常な血球たちがまともに働くことができなくなってしまっています。
抗がん剤治療により異常な白血球が死滅すると、白血球は限りなく0になってしまいます。そうなると、免疫力が低下して色んな感染症にかかるリスクが高くなります。
手洗いうがいはもちろん、G-CSF(グラン)という強制的に白血球の造血を促す薬を打ったりしながら自然回復を待ちます。個人的には白血球が2,000以上あると、外の世界に出られるという感覚です。
②PLT(血小板数)
血小板・・・出血した時に血液を固めて損傷部をふさぎ、止血する働きをします。
血小板も、抗がん剤治療によって壊れてしまいやすく、30,000以下になってくると輸血が必要になります。もっと低下すると、紫斑(赤黒いアザのようなもの)が身体に出てくるなどの自覚症状も出てきます。鼻血なんかも30分〜1時間、本当に止まらなくなるので、こけたり打ったりといった出血には十分な注意が必要になります。
僕の場合、実際に紫斑が下半身のあちこちに出てきたことで不安に感じたのが、病気発見の一つのきっかけになりました
余談になりますが、輸血用血小板1パックのお値段は約8万円と非常に高価です。ツイッターでも、献血してくださった方への感謝のツイートを毎日見かけますが、本当に貴重な献血です。僕も輸血の時は、最後の一滴まで絞るようにお願いして点滴してもらっています。
③NEUT(好中球)
好中球・・・白血球を構成する血球のひとつを言います。白血球の約60%を占めていて「免疫・防御」を担当しています。
体に侵入してくる細菌などを食べることで殺菌・分解してくれます。なので、実際の免疫力という意味では、好中球の実数が判断の基準となります。
発症時のデータで計算してみると、28,100 × 1.5% = 420(計算式= 白血球数 × 好中球比率)となります。主治医と話している時の感覚では、1,500くらいあると安心できると言えそうです。
④ BLAST(芽球)
芽球・・・正常なリンパ球になれなかった異常細胞のこと言い、無制限に増殖する性質を持ちます。これが、リンパ性白血病と呼ばれる病気のもとになっている腫瘍細胞です。
血液とは、骨髄内で造血されたものが、血管内に出てきたものを呼びます(末梢血ともいう)。ですので、たとえ血液検査で芽球が認められない場合でも、骨髄検査をしてより詳しく検査する必要があります。
発症時のデータを見ると、全体の94.5%が芽球となっています。つまり、正常な血球がほぼいない状態ということです。この状態が続くと、身体が正常に機能しなくなり、多臓器不全を起こして命を落とすことになります。
⑤CRE(クレアチニン)
腎臓から尿に排出される物質です。腎臓の機能がが悪くなると体内で(血液内の濃度)増加してしまいます。病気の進行時や、抗がん剤など治療による負担で腎臓の機能が低下することはしばしばあります。
また腎臓は、
という特徴があるため、検査数値を常に注視しながら、点滴などでコントロールする必要があります。
⑥ALT
ALT・・・細胞破壊によって血液に流出する逸脱酵素(肝臓障害)のことで、肝臓の状態を知るための数値です。
僕の場合、治療初期から比較的高い数値になりやすかったため、ずっと「ウルソ」という薬を服用しています。八代亜紀さんがCMしてる「たなべのうる〜そ〜♪」ってやつも、多分この成分だと思います。
⑦LDH
LDH・・・肝臓・腎臓を中心に多く含まれる酵素で、臓器障害があると数値が高くなります。(お分かりかと思いますが、エグザイルではありません。)
肝臓も、治療によって影響を受けやすい臓器であるとともに、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど自覚症状の出にくいことで有名です。僕の場合、移植後に数千台まで数値が上がることが何度もありましたが、今は落ち着いています。
⑧GLU(血糖)
GLU・・・みなさんご存知の「血糖値」です。移植後は免疫抑制のためステロイドの服薬は必須となります。このステロイドの副作用によって、血糖値は非常に上昇しやすくなります。また服用期間も長くなる傾向にあるため、その分糖尿病などの慢性疾患になってしまうリスクは高くなります。
⑨CRP(C反応性蛋白)
CRP・・・炎症があるときや組織が破壊されたときに上昇する数値です。この数値が基準値以上になったときは、体内で何かしらの炎症が起こっている状態です。移植後や、大きな炎症が起こっている場合、10.0以上の数値になることも珍しくありません。
ただ風邪をひいても1.0‐2.0程度までは上がるものなので、基準値を超えたからどうこうということではなく、何が原因で上がっているのかを、症状や検査結果で特定していくことが重要となります。しかも、実際の炎症反応が起きた数時間後~1日後に数値が上がってくる仕様なので、「あの時きつかったのは、やっぱりそうだったんだね。」みたいな事後確認になることが多いです。
ですが、GVHDやウィルス感染などの場合は、数値経過を観察することで、継続なのか収束に向かっているのかの判断には有効です。
さいごに
いかかでしたか?お勉強っぽくなってしまうのは、いつものことながら反省しきりですが・・・。
ここで改めて、6月6日の血液検査結果を読んでみましょう。すると、こんなことが見えてきます。
この程度の内容でも、自分の身体のことがわかるようになると、少し安心できると思いませんか?なにか身体に異変を感じたときも、こうして読んで理解出ていれば、焦らずに納得して治療を受けることができます。
自分の身体のことを知ると、治療にも前向きになれます。ぜひ、ご自身の検査結果と見比べながら、読んでみてください。
では
大変参考になりました。有意義な記事ありがとうございます。私は2020.9.1MDSと言われた。只今ビザーダ注射で治療中です。副作用で好中球の減少に心配しています。
ひろまさ様のバイたりtぃーに感心しています。お元気で頑張ってください。